郷里

2年間の短大生活を過ごすにあたり、周囲に山を眺めていられるなら、それで良いと思っていた。

故郷の田舎も、なかなか田舎で(単語を重複させるほど)、駅へ行く暇があるなら、車で隣町へ向かう方が効率的な場所だった。

山は、四季折々で姿を幾重にも変える。

その様々な表情を見つめ続けることは、田舎に育った者として、もはや欠かせぬ風流だろう。

 

そうは言っても、下宿先の山と、地元で見慣れた山とでは、元来の雄姿が全く異なるのだ。

例えば、どれほど山が好きであったとしても、

故郷の山が恋しくなる瞬間が訪れるのは、仕方のないこと、のハズだ。

 

それは恐らく、海と共に育った者たちが、山で暮らせば海を恋うように。

 

もどる

 

 

【郷里】

@むらざと。郷邑。

A生まれ育った土地。ふるさと。故郷。

inserted by FC2 system